村田佑輔ブログ◆天佑不待

役者・村田佑輔によるアレやコレやソレ

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阿吽剣究会4月稽古スケジュール

【4月の稽古スケジュール】

1(土)
■柏木地域センター会議室1B→A
17:30~19:30
19:45~21:45

8(土)
■大森東地域センター 第1集会室
18:00~22:00

15(土)
■落合第一地域センター第一集会室B
17:30~21:45

21(金)
■柏木地域センター会議室1B→A
17:30~19:30
19:45~21:45

29(土)
■大森東地域センター 第1集会室
18:00~22:00
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| 阿吽剣究会 | 12:31 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「浮霧道中」其之弐「霧」

『霧が晴れずとも心は晴れる。
君の言葉にそうあった。
ならば霧中にいる君の周りを晴らすには、私はどうしたら良かったのだろうか』

「浮霧道中 -異聞・憂世彼方-」

豪農の息子、佐野次郎兵衛の江戸逗留も半月が過ぎた。
見るもの全てが新しく、目まぐるしく、時が経つのはあっという間だった。
その日も、下男を連れて材木問屋、廻船問屋、油問屋、絹問屋と見てまわり休憩がてら縁日に立ち寄ったところであった。

江戸の喧騒は怒気の薄い張り声と、笑いの塊りのようなものであったが、次郎兵衛はどこかそれが自分の体躯をすり抜けていくように感じている。

己が死ねば笑いは聞こえぬし、他が死ねば笑いは起きぬ…

周りが眩しい反面、全てが靄掛かって見えた。

「次郎兵衛さんよ」
いきなり背後から声を掛けられ、次郎兵衛は一瞬身をすくめた。出立前に父親から譲り受けた脇差に手を掛けそうになった程である。なんのことはない。この次郎兵衛という男は予期せぬ事象は全て敵意と取る悪い癖がある。
「なんだ、角吉さんかい。驚かさないでおくれよ」
振り返って漸く次郎兵衛は胸を撫で下ろした。
声を掛けた男は江戸逗留の間に顔見知りになった、この界隈で江戸の噂を語り売る、読売であった。
「今日も威勢がいいね」
「いやいや、歳のせいで身体が思う様に跳ばねぇや。早い所弟子とって、この『吉』の字譲りてえわ」
そう言って、この角吉という読売は小さい体躯からは想像できぬ程の笑い声を飛ばした。この男が街中に出れば、どんな法螺話であろうとも、跳んで踊って町人を虜にしてしまうのだ。
「今日はこのまま宿にお帰りかい」
「それなんですがね、角吉さん。吉原へはどう行ったらよいですか」
次郎兵衛からの思わぬ言葉に、角吉は一瞬目を細めた。
「吉原なら浅草寺の裏通って日本堤ですが…この時間からってのは随分お急ぎですかい」
「いやいや。大門前を見物しようというだけですよ。上州から文が届きましてね。近いうちに戻ることになりそうだから」
その言葉に偽りはなかった。あの父親にしては嫁を用意するのに随分手間取っているものだ、と思う程である。

角吉と別れた次郎兵衛は裏道を通って、浅草寺を越えていくことにした。
人と言葉の多い表通りは、次郎兵衛にはあまり心地がよくない。向かう先に対してもだ。

『折角だから吉原にでも寄ったらどうだ』

直接帰れとの便りが来る前に、柿右衛門への義理を通しておこうという腹積もりであった。
いや、義理以前の問題で、次郎兵衛は話の筋が円滑に通らないと自分の所為だと思い込む節があった。帰ったときに「行ってはおらぬ」と言えば、何故どうしての言葉が出てくる。それが彼にとっては億劫なのだ。

とぼとぼと虚空を見つめて歩いていると、ふと下男が「旦那様」と口を開いたのに気付いた。
「何か」
「御武家様のお通りでごぜえます」

細い路地に向こうから供廻りを連れた馬がゆっくりと近付いてきている。次郎兵衛は慌てて隅に寄り軽く頭を下げた。この天下泰平の世、金回りを主として武士も随分と身近になったものだが、田舎者の次郎兵衛にとってはまだまだ侍は畏怖の対象であった。

「俺はこのまま武助の所に行ってくる」
「都筑様の所で御座いまするか。若様、あまりお父上のお耳に入らぬように…」

馬が通り過ぎる時に会話が聞こえた。随分と若い声である。
蹄の音に混じって乾いた音が聞こえた。ふと見ると印籠が落ちている。次郎兵衛は咄嗟に声を出してしまった。

「御武家様、印籠を落としになりました」

これには下男も大いに驚いた。無礼と取られれば何をされても文句は言えぬ。しかしながら、馬は踵を返して次郎兵衛の目の前にやってきた。
「これはかたじけない。礼を言う」
供廻りに拾わせ、快活に喋ると、そのまま若い侍は去っていった。

「随分と若い。どこぞの若様だったのだろうか」
「旦那様、あれはこの付近にお屋敷を構える、羽林様の御嫡男でごぜえますよ。奉行所への出仕もお決まりになっているようですが、御当主様の目を盗んでは随分と奔放に過ごされているとか」
「そうか」
一瞬しか交錯しなかった若武者の力強い眼を思い出して次郎兵衛は思った。できるなら父親というものの難儀について酒でも飲みながら意見を交えたい、と。

それは叶わぬことであるが。

浅草寺裏を通り吉原大門を一目して、次郎兵衛は成る程これは一見の価値があると唸った。
しかしながらその向こうは、怨嗟を隠すように極彩色で飾られているように思われて、近寄りがたいとも感じていた。
「これ。ここで見物がてら飲んでいくから、お前も適当に遊んでお帰り」
下男に金を渡して帰らせると、次郎兵衛は二階から大門が見える宿で晩酌を始めた。
帳が下り、次郎兵衛の酒が深くなって陰鬱になっていく反面、大門から見える仲之町の賑わいは大きくなっていくようだった。

死ねば皆仏、この憂き世で何をなそうとも全くの霧中ではないか。
兄が私で私が兄であったなら、私の生に意味はなかった…いや、今生のままでも意味はあるのか。
だが、あの大門の先は可哀想かな憂き世どころか地獄なのだ。

ふと気付くと次郎兵衛は酔いに任せて突っ伏していた。
見るともう明け方近い。
外に出ると濃い朝霧が掛かっていた。六尺先も霞んで見える程だった。

まるで私の心模様だ。

そんな事を思って歩いているうちに次郎兵衛はどこを歩いているか分からなくなり、いつの間にか大門の内にきているようだった。
これはいけないと、道を探していると。霧の中にぼんやりと人影が見えた。
「もし…」
そう言いかけて次郎兵衛は息を呑んだ。
美しい娘がまるで雲の中を歩くように優雅に歩みを進めている。
どこぞの店のお職であろうか。次郎兵衛が呆気に取られていると、娘の方が此方に気付いたようだった。次郎兵衛は慌てて言葉を捜す。
「わ、私は大門を見物に来た次郎兵衛といいますが、其処許はどこぞの花魁か」

その言葉を聞いて一瞬首を傾げた娘が、まるで朝霧全てを吹き飛ばすような笑顔と声で言い放った。

「お清だよっ!」

「……は?」



其之弐「霧」

| 舞台 | 00:01 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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其之壱「父」

『霧と雲に違いなどない。
山に雲がかかれば地上の人は雲だと言い、山中の人は霧だと言う。
大気に浮かぶか、地面に接しているか、定義の違いである』






男が江戸にやってきたのは、父の言いつけであった。

兄が元服前に他界した後まるで後備えをこしらえるように、父親は自分に商人としての教育を始めた。

「このように簡単に人は死に、そして忘れていくのか」

幼い頃の男の脳裏に、陽炎の様にこびり付いた想いであった。

それから時は経ち、
少々若いが器量としては店を継ぐに値する。しかしながら妻がおらぬ。
これまた兵糧をこしらえるように、父親は相手を探し始めた。
「準備が整うまでの暇を使い、江戸の商売をよくよく学べ。上州に戻れば即祝言、これで一安心」という塩梅なのである。

「それは羨ましい限りではないか。俺など若いうちに江戸に行く縁など巡ってこないかもしれん」
ともに商いを学んだ兄貴分までこのように言う始末である。
「私には実感がないのです。顔も知らぬ妻を娶り、一度は家を出される身だった自分が稼業を継ぐという」
「いつ出立するのだ」
気弱をいつも通りと流す辺り、男のことを良く理解している。
「本多のお殿様からお許しの書状が届き次第です」
「それは結構、先代の城主真田様のような気概で行けよ。折角だから吉原にでも寄ったらどうだ」
恰幅の良い身体で肩を叩かれ、男は困ったような笑顔を浮かべた。

「考えておきますよ、柿右衛門殿」

それから数日、関所にて出立する男の見送りに柿右衛門がやってきた。
「本当は共に行って頂きたい位です」
特有の、虚を見るような瞳で男は呟いた。
「なあに、俺は隠居したらお前の息子にでも連れてってもらうさ」
そんな先の話、と言いかけて男は止めた。この素っ頓狂な語り口で皆を笑わせるのが柿右衛門なりの優しさなのだ。
「それでは、行って参ります」
「うむ、達者でな」
別れを告げて、関所に向かう。
朝霧の掛かった中、まるで黄泉の国からの響くように、役人の声が届く。

「免状をこれへ。そして名乗られよ」


「沼田藩佐野名主基八郎が嫡男、佐野次郎兵衛に御座りまする」



「浮霧道中 -異聞・憂世彼方-」其之壱

| 舞台 | 03:49 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「憂世彼方」終演



劇団アニマル王子第20回公演
「憂世彼方-霧の花街宵乃籠釣瓶-」
盛況の中、幕を閉じることができました。関係各位、御来場頂いたお客様に厚く御礼申し上げます。

歌舞伎の原作にも登場し、主人公の父親という今までにない役柄への挑戦でした。
俺、もう父親役とかやる歳になっちまったんだな…

まあ、丸吉や羽林みたいなカッコよさは皆無でしたが(笑)
主役の核を成すキャラクターなので、まぁ物語全体での「縁の下の力持ち」であったならば僥倖です。

佐野次郎兵衛
息子は信じることを選び、彼はそれができなかった。
近くにあった愛に気付けなかった男。
狂気に目が行きがちだけれども、誰もが持ち得る弱さを体現した人。

向こうでお清、妻、長男(実はいたんです。妻より先に病死)と仲良くやりな。



29人も役者がいましたが、いつになく素敵な座組だったなぁ…
絡む役が少なくて勿体無く思った程に。

気が向いたらブログで思い出話しでもしましょうかね。

| 舞台 | 05:24 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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次回出演情報(3/19までトップ表示)

次回出演舞台

劇団アニマル王子 第20回公演

「憂世彼方 -霧の花街宵乃籠釣瓶-」

(うきよかなた -きりのはなまち よいのかごつるべ-)







【日程】

2017年3月15日(水)~19日(日)


15(水) 19:00

16(木) 14:00☆A/19:00

17(金) 14:00☆B/19:00

18(土) 14:00/19:00

19(日) 13:00/17:00★

☆A・・・終演後「HIMA-JIN(小林千紘・古家後里恵)」&「あちはち本舗(井家久美子・なかがわあつこ)」によるアフターイベントあり

☆B・・・終演後「ギリギリでガリガリ!(吉山博海・河合優)」による終演後アフターイベントあり

★・・・千秋楽バージョン特別カーテンコールあり



【チケット】

前売:3500円(前売り特典付)
当日:3800円
学割:2500円(要学生証提示)

 ※過去イベント特典による一部指定席を除き全席自由

※初日15日(水)公演のみ限定デザインチケット

ご予約はこちらから

http://481engine.com/rsrv/webform.php?s=k198uu1mk2umr9a9


【場所】

築地本願寺ブディストホール

東京都中央区築地3-15-1 築地本願寺内第一伝道会館2F(築地本願寺を正面に右側 『レストラン紫水』と同入口)

メトロ日比谷線 築地駅 徒歩1分
メトロ有楽町線 新富町駅 徒歩5分
都営浅草線 東銀座駅 徒歩5分
都営大江戸線 築地市場駅 徒歩5分


【あらすじ】

時は享保、徳川吉宗の時代。
下野国で絹問屋を営む佐野次郎左衛門は、生まれつきその顔に醜い痣がある。
母の言いつけを守りまっすぐに生きているものの、その醜さゆえに人から疎まれることも多かった。

ある日
次郎左衛門が商いで江戸・吉原に出向いた先で、橘屋お職・八橋花魁と出会い二人は一目で惹かれ合う。

一方、江戸の町は続く女郎斬りの噂で持ちきり。

陸奥国の降霊術師一族の血を引く女・竹原七美は、同心・羽林喜三郎にその力を見込まれ、女郎斬りの下手人を捕らえるために協力することになってしまう。
女郎斬りを調べている最中、七美は町で不思議な男を見つける。

その者の名は

「籠釣瓶(カゴツルべ)」

それは次郎左衛門の中に潜む、もうひとつの霊魂であった。

止まぬ女郎斬り
次郎左衛門と八橋の仲を良く思わぬ八橋の間夫・栄之丞の企み、次郎左衛門と籠釣瓶の悲しい過去…。
女たちの情念渦巻く吉原で、様々な人間達の想念が昏く深い霧のように次郎左衛門に忍び寄る。

その霧晴れたその時に
お天道様が照らすのは

市中騒がす女郎斬りか

人を愛する化け物か

| お知らせ | 18:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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