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村田佑輔ブログ◆天佑不待

役者・村田佑輔によるアレやコレやソレ

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次回出演情報(9/30までトップ表示)

アバンギャルドシアター#02
『MODERN NOH PLAYS-卒塔婆小町-』



作:三島由紀夫
演出:八木タケル


◆今作について◆
『近代能楽集-卒塔婆小町』
海外でも「MODERN NOH PLAYS」として上演されるこの作品には、三島が愛した日本人の美意識が幾重にも込められている。
同企画では三島の長編小説「仮面の告白」を題材にしたオリジナル作品『MasqueraDead』も上演。
平成最後となる2018年に、近代的世界観を引用することで立ち上がるロマンティックな物語に、私たちの“今”を鏡写しにすると何が見えるのか。
原作戯曲そのままに、三島の精神世界の表出を試みる。


◆出演◆
◎卒塔婆小町
大島朋恵(りくろあれ)
倉垣吉宏(舞台芸術創造機関SAI)
井家久美子
大友沙季
篠崎大輝
ぜん
水川美波
渡邉晃

村田佑輔(誠-Pro)
 
◎MasqueraDead
常盤美妃(舞台芸術創造機関SAI)
こもだまり(昭和精吾事務所)
and more・・・!!!


◆会場◆
江古田兎亭B2アトリエⅢプレイズ◎住所:〒176-0005
東京都練馬区旭丘1-46-12エイケツビルB1&B2
◎最寄駅 西武池袋線 『江古田』南口徒歩7分都営大江戸線『新江古田』A1出口より徒歩13分 各線より兎亭への行き方→https://ameblo.jp/uasagidan-oukaissou/entry-11133990457.html


◆日程◆
2018.09.27(木)-30(金) 全8回
27(木) 15:00/20:00 ※1
28(金) 15:00/20:00
29(土) 13:00/14:30★/17:00 ※2
30(日) 13:00/14:30★/17:00
★同時上演作品『MasqueraDead』上演時間
※1:終演後アフターパーティー有
※2:終演後アフタートークイベント有
※受付開始/開場:開演の30分前
※ 上演時間 :70分予定


◆チケット◆
・平日昼割 前売:2500円  
・一般販売 前売:3000円   
・『MasqueraDead』(土日限定)前売:2000円 
・『卒塔婆小町』『MasqueraDead』セット券(土日限定)4500円※公式前売限定
※平日公演はサービスドリンク付。※予約は+200円、当日は+500円。

▼特製前売券 3000円
http://sai20xxshop.cart.fc2.com/
※送料、振込手数料(銀行支払いの場合)がかかります。

▼スマホチケット 3000円
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01h1nizs713n.html
※送料/発券手数料不要、紙製チケットはありません。

▼予約 3200円
[村田佑輔扱い 予約フォーム]
https://www.quartet-online.net/ticket/av02?m=0ddccff

※前売→事前にお支払いいただきチケットを発送。お支払いはUFJ銀行振込/ゆうちょ/クレジットカード対応。
※予約→当日劇場にてお支払いいただき、チケットは当日お渡し。
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| お知らせ | 06:30 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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次回出演情報(8/18までトップ表示)

刀屋壱×劇団PIS★TOL

‪「BURRRN!!!~無稽・本能寺~」‬






◆日時
8/15 (水)
【青】19:00~
8/16 (木)
【赤】19:00~
8/17 (金)
【赤】14:00~/【青】19:00~
8/18 (土)
【青】12:30~/【赤】16:30~

◆会場
月島社会教育会館 4F ホール
(東京都中央区月島 4 丁目 1 番 1 号)

◆チケット料金(税込・全席指定)
SS 席(特典付き): ¥6000(完売)
S席 (特典付き): ¥5500
A席: ¥4500

SS席特典・・・ご予約いただいたキャストのサイン入りポストカードとブロマイド
S席特典・・・ご予約いただいたキャストのサイン入りポストカード
(全ての特典は非売品となります)

◆予約
‪村田専用予約フォーム

https://ticket.corich.jp/apply/92792/020/


◆出演者
吉野哲平

水野大
春奈
伊藤真
北川大佑
朝比奈叶羽
横見恵
(以上 刀屋壱)

仲村大輔
本倉さつき
川又咲
(以上 劇団PIS★TOL)

上田理絵

塩崎こうせい

植野堀誠
早乙女じょうじ
倉田瑠夏
高畑岬
佐藤信也
大曽根敬大
柳瀬晴日
鈴木聖奈
セキュリティ木村
小浜光洋
中島佳継
村田佑輔
田畑潤弥
千葉ミハル
五十嵐山人
杉山亜利紗
尾上公紀
堀川恵利
麻枝幸平
向江創星
森駿


清水里咲
水野新大

大林素子 (Wキャスト【赤】に出演)
柴小聖 (Wキャスト【青】に出演)


◆あらすじ
場所は記者会見会場。
日本歴史学上 大きな謎とされてきた「本能寺の変」に関して、新事実が発表されようとしている。
明智光秀はなぜ、主君 織田信長に謀反を起こしたのか・・・

時は戦国時代。
本能寺には、亡き信長の名を名乗る、信長の妹・お市の姿があった。

「本能寺の変」で織田信長を討ったのは明智光秀ではなかった!?
400年の時空を超えて、荒唐無稽な愛の物語がはじまる。

◆お問い合わせ
‭katanayaichi.110@gmail.com‬

| お知らせ | 18:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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炎熱の顔合せ



うだる様な暑さの中、本日顔合わせ。

BURRRN!!!

始動しました。

熱いぜ。滾るぜ。

かつて出る事も観る事も叶わなかった憧れの演目。

八年前に共演した大林素子さんに
「あのときは可愛かったのに!」
と開口一番に言われ、
「ああ、もう若くねぇんだな…」
と思いつつ(笑)

諸先輩方もいるし
後輩もいるし
なんなら教え子もいるし

な、板挟みのキャリアではありますが
初心忘れるべからず。泥臭く青臭く足掻いて爪跡残していきたい。

総てはお客様の為に。
お楽しみに。


刀屋壱×劇団PIS★TOL
‪「BURRRN!!!~無稽・本能寺~」‬

◆日時
8/15 (水)
【青】19:00~
8/16 (木)
【赤】19:00~
8/17 (金)
【赤】14:00~/【青】19:00~
8/18 (土)
【青】12:30~/【赤】16:30~

◆会場
月島社会教育会館 4F ホール
(東京都中央区月島 4 丁目 1 番 1 号)

◆チケット料金(税込・全席指定)
SS 席(特典付き): ¥6000
S席 (特典付き): ¥5500
A席: ¥4500

SS席特典・・・ご予約いただいたキャストのサイン入りポストカードとブロマイド
S席特典・・・ご予約いただいたキャストのサイン入りポストカード
(全ての特典は非売品となります)

◆予約
‪村田専用予約フォーム

https://ticket.corich.jp/apply/92792/020/


◆出演者
吉野哲平

水野大
春奈
伊藤真
北川大佑
朝比奈叶羽
横見恵
(以上 刀屋壱)

仲村大輔
本倉さつき
川又咲
(以上 劇団PIS★TOL)

上田理絵

塩崎こうせい

植野堀誠
早乙女じょうじ
倉田瑠夏
高畑岬
佐藤信也
大曽根敬大
柳瀬晴日
鈴木聖奈
セキュリティ木村
小浜光洋
中島佳継
村田佑輔
田畑潤弥
千葉ミハル
五十嵐山人
杉山亜利紗
尾上公紀
堀川恵利
麻枝幸平
向江創星
森駿


清水里咲
水野新大

大林素子 (Wキャスト【赤】に出演)
柴小聖 (Wキャスト【青】に出演)


◆あらすじ
場所は記者会見会場。
日本歴史学上 大きな謎とされてきた「本能寺の変」に関して、新事実が発表されようとしている。
明智光秀はなぜ、主君 織田信長に謀反を起こしたのか・・・

時は戦国時代。
本能寺には、亡き信長の名を名乗る、信長の妹・お市の姿があった。

「本能寺の変」で織田信長を討ったのは明智光秀ではなかった!?
400年の時空を超えて、荒唐無稽な愛の物語がはじまる。

◆お問い合わせ
‭katanayaichi.110@gmail.com‬

| 舞台 | 23:01 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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願空花火見幕張(ねがいのそらはなみのまくはり)

「どういう事だ、何故未だに兵を起こさぬ?!」
「鼠小僧の英傑の力を得るには今暫く時を要します。それが済めば…」
「そうか」
「それが済めば力を得て、私が天下を取る」
「なに?」

振り向いたときにはその男、水野宗久の鳩尾には深々と刀が突き刺されていた。
「か、金橋…貴様っ…!」
「これまで御苦労様でした。由比横雪をそそのかした責めは貴方に負って頂きましょう。ああそれと、貞江様の事は心配なさらず。私が天下を取った暁には正室に迎えて差し上げますよ」

用意させた無銘を突き刺したまま、中弥はその場を霧丸に任せて後にした。

(漸くだ…漸く私は力を手に入れ天下を取り、そして…)



その先に続く言葉を、中弥は失っていた。





慶安四年八月十日

金橋中弥

此ノ者、天下御政道ニ背キ
幕府転覆ヲ図リ江戸ヲ大火セシ罪
又総目付水野宗久謀殺ノ咎ニテ
市中引キ回シ上斬首申シ渡ス也




伝馬町牢屋敷外処刑場。

中弥は無心で其処に座していた。

「本来は磔となる所だが、引き回しの際に火盗改方頭と一部町民から何故か陳情があってな。流石に切腹は罷りならんが破格の待遇だ」
首切り役人の言葉を聞いて、中弥は浅く息を吐いた。
「火盗改は裁きに関しては権限が弱いですからねぇ…あの顔で甘いことを言う。だからあの人は嫌いなんですよ」


役人が白刃に水を垂らす。
「何か言い残す事は?」
「…花火は?」
「は?」
「今宵は何処かで花火は上がりますか?」
「…この時期だからな。隅田川辺りで上がるとは思うが…」
「そうですか…できればもう一度、見たかったのですがね」

遅すぎた光。
だが中弥にとっては充分だった。

「あとひとつお願いが。やり辛いとは思いますが…この格好で失礼します」

そういうと中弥は、空を見上げたまま首を差し出した。



アメ水の 行方も西の そらなれや

願うかいある 道標せよ







「先生…金橋先生…」

霧丸の言葉で、中弥は「そこ」に至ったと気付いた。

「…随分と懐かしい呼び方をするのですね」
「最早私にとって貴方様は、豊臣残党軍の軍師でもなければ主君でもありません。唯の、師匠でございます」
「そうですか。君にも随分と苦労をかけましたね。ずっと待っていたのですか」
「どこまでもお供すると申し上げましたから…ご案内致します」

そう言って霧丸は歩き出した。中弥はついて行く。

そうしてたどり着いた先に、


「よ。久しいなセンセ」

彼女は居た。

「お久し振りです天呼さん。大分お待たせしてしまいましたね」
「いやあ、ちょっとアンタの事が気掛かりでな、閻魔様に無理言って居座っちまった」

あの時と同じように、カカカと笑って天呼は座った。中弥にとって、永らく忘れていて、それでいて…焦がれた笑顔だった。

「それでセンセ、アンタは何がしたいんだい?」
「そうですねぇ…彼らを集め直して地獄で天下取りも悪くないですが…」

中弥も、どかっと、其処に座った。

「一献、お付き合い頂きたいですね。あの夜のように…」

そう言って中弥は己が持っていた、くすんだ山吹色の扇子を差し出した。

「貴方の正義、永らくお借りしていました。それと…」

肩に掛けていた着物を差し出す。

「ボロボロになってしまいましたが…着て下さい。きっと…美しい貴女に良く似合う」
「へへ…生きてる間に言えってんだバカヤロウ」

天呼は頬を薄く紅色に染めながら中弥を小突いた。

「聞いて頂けますか?貴女によく似た、私に興味の無い娘の話を」
「興味深いねぇ…じっくり聞いてやるよ。何せ、時間はたっぷりあるんだからよ!」





     終

| 舞台 | 21:58 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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アメ乃憂世画 ~異聞・歓喜風体~・急

中弥がその場に姿を現した頃には、寅の初刻を過ぎていた。

近くに住んでいた末弟が、騒ぎを聞きつけ大急ぎで中弥を呼びに屋敷へと走って来たのである。
刻限もあってか野次馬は殆どいなかったが、既に役人たちが現場を押さえていた。
「何だお前、此処から先は入れねぇぞ」
岡っ引きが中弥の前に立ち塞がった。
「申し訳ありません、もしかしたら知り合いが…」
ここで問答している余裕は無かった。押し通る覚悟を決めたとき、
「おう彦十、大将が出張って来るまで一寸ある。通して見せてやんな」
奥に居た大柄の同心らしき男が声を上げた。
どうやらその男が立っている付近が現場らしかった。中弥は礼を言って駆け寄る。そして…

筵を払ったそこに在ったのは

天呼だった。

白い柔肌につけられた無数の刀傷は、どの順にどう斬られたか、使い手がいかに弄びながら斬ったか、中弥の力量を持ってすれば手に取るように解った。
更に天呼の身体は傷だけではなく、酷く虐め抜かれた痕があった。

「どうだい旦那。仏さん、知ってる顔だったかい?」
同心らしき男が気配ってか、少し距離を置いて声を掛けた。
「……いえ、知人の娘かと思ったのですが、全く知らない赤の他人でした。失礼しました」
そう言って中弥は現場を離れた。
立ち上がり際に、そっと天呼が握り締めていた扇子を拾って。

“コイツはあたいにとっての十手みたいなもんさ”

(ああ、そうか…天呼さん貴方、守らなければならない、力無き者の側だったんですね)

豊臣の天下を失い、長宗我部の家を失い、母を失いそして…
全て己に力があれば、総てを抱えて尚ねじ伏せる力があれば、


私は何も失わずに、救う事ができたのに


「先生、そこの角にこれが…」
弟子が差し出したのは、中弥が天呼に渡した風呂敷包みであった。中にあった白と草色の着物は所々、天呼の血で赤銅色に染まっていた。
荷物がここに置かれているという事は、拐かされた訳では無い。あの位置まで必死に抵抗し、戦った、その証なのだ。

(天呼さん、貴方の十手、お借りしますよ)

風呂敷から着物を引き抜く。布が大きく靡き「ばさっ」と大きな音をさせると、中弥はその着物を肩に羽織った。

「…明け六つの鐘の音と共に全てを忘れる覚悟はありますか?」
弟子が中弥を見る。瞳の奥の虚(うろ)。その深さに汗が一筋流れた。しかし彼は決意を以って膝をつく。
「私は、何処までも先生と共に参ります」
最後の弟子のその言葉を聞き、中弥は顔の前で、くすんだ山吹色の扇子をパチンと鳴らした。

「ならば付いて来い、霧丸。私が…俺が、阿鼻地獄の作り方を教えてやる」





「全くもって想定外だ。よもやあの様な邪魔が入るとは」
改易によって空き家となった大名屋敷、そこに隠れ家を構えていた由比横雪は苛立ちを露わに畳を叩いた。
「先生、機会は必ずまた訪れます。今はご辛抱を」
奥村七衛門をはじめとする張孔塾生たちが横雪をなだめる。

そこから障子一枚隔てた一室で、その様子を伺う者が有った。
「奥方様、此処が引き際かと」
「そうね。徳川崩しの尖兵として使い所があるやもと目を掛けてやったが…この様な御粗末な絵空を描くならば先は見えている」
「では、宗久様に始末の御願いを?」
付き人にそう言われた彼女は「ふん」と鼻で笑い鋭い目を光らせた。
「あの様な体たらくでは手を下すまでもない。気取られぬうちに屋敷へ戻るわよ」



それから四半刻後。

隠れ家に二つの影が浮かんだ。
沈みかけの紅月がそれを照らす。
「か、金橋!」
見張りの塾生が声を上げるのと、その者の首が宙に浮くのと、中弥の刀が鞘に納まるのは、ほぼ同時であった。

「横雪先生大変です!金橋が屋敷に!」
塾生が慌てふためき奥の間に駆け込んで来た。
横雪は色を失い、奥村らは拵えを腰に押し込み外に出ようとした。
だが、影はすぐ側の廊下に伸びていた。


朝靄を引き連れて、金橋中弥がやって来た。


その姿を認めた塾生たちは直ぐ様に柄に手を掛け、刀を抜き放ち、晴眼・八相・下段・脇と其々構え…ようとした。

その間に、中弥の刃は二度、鞘から離れた。
抜きざまに下から一人目の小手を斬り落とし、返す刀で二人目の頸を袈裟斬りで裂くと、そのまま鯉口に吸い込まれる。相手方が怯んだ所に再び抜刀し、三人目の胴を薙ぐ。そのまま遠心力を利用して身を屈めながら回転し、四人目の右脚を斬った。
「なっ…!」
一瞬にして赤い飛沫が現れ、畳は血の海となった。
ここで漸く塾生たちが攻撃に転じた。一人が天井を避けて低く斬り掛かる。が、中弥は抜き打ってその刀を叩き落とし首を刎ねた。そして背後に回り斬り込もうとした相手を一瞥もくれず、左片手平突きで突き刺した。
三回、中弥の刀の鍔が鳴った頃には、立っているのは中弥と奥村、そして横雪だけとなっていた。

「な、何故…」
「何故?普段の行いの結果が巡ってきたという事ですよ奥村君」
中弥は扇子を取り出した。天呼の扇子を、その骨の三つまで開いた。
「彼女はこの様に扇を握っていましたよ」
「三…?!弥生…やよい、亭」
「居処は直ぐに割れました。それにしても、穴熊を組んでる途中で玉を上がるなど、愚策もいいところでしたね。ああそうだ奥村君。今、私の右小手を狙っているのであれば、これ以上踏み込まない方が良いですよ」
奥村は虚をつかれた。己の考えが読まれていたのもそうだが、何よりも眼前に居るかつての師、

嗤っている。

浮世の全てを嘲笑する様に、力無く口を吊り上げた笑みで。

これが、あの金橋中弥か

「おのれ…おのれぇ!」
奥村が下段構えから下段晴眼に変化し地を蹴った。
しかし、踏み込んだ足がぬるりと滑った。
(なっ…血が!?)
足元の血溜まりと畳の目の所為で足を取られ、奥村は前のめりに倒れ込んだ。
はっと上体を起こすと目の前に中弥の袴があった。

「だから言ったんですよ。これ以上踏み込むな、と」

そう静かに言うと中弥は拾っていた、折れた障子の格子木を奥村の首筋に思い切り突き立てた。
屋敷に絶叫が響き渡る。虫の様に這いずりながら徐々に動きが鈍くなっていく奥村を見下げながら、中弥は小さく吐き捨てた。
「傷痕と其々刀を見れば、誰が主な下手人かすぐ分かる。貴様は刀で斬り殺す価値すらない」





外では、既に空が白み始めていた。
青白い光が部屋に差し込む。そこに対峙するのは、二人。

軍学者、由比横雪。

そして、名を二つ持ちながら、何物も持ち得なかった男。

「どうしてだ…金橋、それだけの力を持っていながら何故!」
「力?こんなものは只の技術に過ぎませんよ。私には何の力も有りません。だから守れなかったそれだけです。故に私はこれから力を手に入れる。誰にも負けぬ力だ…誰をも救える力だ」

最早、妄執に近かった。中弥は己の掌から零れ落ちていったものたちが、自分にとってどれだけ大事だったか気付けぬうちに、その願いは祈りになり、そして叫びと成り果てたのだ。

「目的は同じ筈だ。何故私の邪魔をする」
「貴方の目的は私にとって手段でしかありませんよ。そして由比先生、貴方が天下を取れる英傑ならば、今の私程度の邪魔、乗り越えられる位の力がなければねぇ」

中弥が不気味に嗤いながら、ゆっくりと血の海を渡る。

「尤も、私ならもっと上手くやる。周到に緻密に丁寧に迅速に確実に手に入れる。ああそれと、一つ言い忘れていました」

血脂にまみれた手で中弥が髪をかき上げ総髪を作る。横雪はその時初めて彼の瞳を見た。眼光は鋭さを増し、しかしその奥は、どこまでもどこまでも昏かった。

「傷口と照らし合わせていない差料はあと一本…天呼さんの背中を最初に斬ったのは、貴方ですよね?」
瞳の虚に引き込まれ、横雪はまるで金縛りにあったかの様に動けなかった。その間に中弥は横雪の目の前に立っていた。



「由比横雪…貴様ここから生きて帰れると思うなよ」






間もなく卯の刻明け六つ。

屋敷の中は血の匂いが立ち込めていた。
「金橋先生、外は全て片付きました…!?っと!」
小走りで駆け込んできた霧丸は、足元に転がっている物に躓きそうになり思わず飛び退いた。
よく見ると転がっていたのは由比横雪の首であった。

「ああ、御苦労様です。此方も終わりました」
中弥は血を拭き取った懐紙を投げ捨てた。赤と白が雪の様に部屋に舞い散る。
「先生、それが…塾にいた武家の女が見当たりません。あの者は我々の顔を見ております。如何致しましょうか」
「成る程…由比は既に見限られていましたか…問題ないでしょう。敵味方どちらに転がろうとも、お互い利用できるという事でしょうね。それにまあ…」

そこで明け六つの鐘が鳴った。

朝の始まりを告げる音だ。

同時に…夜の終わりを告げる音であった。


「今の私を見ても、誰も気付かないでしょうねぇ…はははははは」

そのとき中弥の顔に飛んでいた返り血が二筋、垂れ落ちた。
霧丸にはそれが、中弥の目から零れ落ちたものの様に見えた。




外は、雨が静かに降り始めていた。

天が呼んだ明るい娘の魂が、友の心の死を偲んで流した涙のような雨だった。




    「アメ乃憂世画 ~異聞・歓喜風体~ 」終







「これがあの鼠小僧…この様な小娘だったとは驚きだ」
髪を掴み、顔を引き寄せる。そのとき金橋は初めて弁天の素顔を間近に見た。
刹那、

笑顔が明るい誰かの面影を見た気がした。

しかし金橋は、思い出さなかった。

あの頃の総てを忘れていた。

彼が其れを取り戻すのは暫く後程。
あのとき見た紅い月の様に大きく明るい、花火を彼らと見た時であった。

| 舞台 | 14:05 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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